旧上妻家住宅一般公開です。

公開日 2023年11月25日(Sat)

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 11月25日(土)に,国登録有形文化財(建造物)旧上妻家住宅一般公開がありました。

上妻家地図

 場所は,市立図書館の西隣です。

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 門です。丸い腕木門で県内唯一だそうです。

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 石垣はつの立ちで積んであり,地位が高い人の屋敷であることを示しています。

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 外側は改修のため,覆いがされていました。

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 上妻家は,種子島氏の筆頭家老の家です。種子島氏入島以前から,鎌倉幕府の地頭大浦口氏の代官として,種子島を支配していた一族で,種子島氏入島後,その家臣になります。

 平成28(2016)年に,西之表市が購入し,翌29(2017)年に,旧上妻家住宅及び門が,熊毛地区初の国登録有形文化財建造物に登録されました。

 その特徴は,発見された棟札で,江戸中期(1751年)建立とされ,祁答院住宅(伊佐市)についで,県で2番目に古く,規模としても大きいものだということです。ただ,その棟札は外された状態で見つかっており,確かに江戸中期建立と断定できていません。ただいくつかの証拠があります。

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 棟札には,中央に「南無妙法蓮華経 日蓮 日隆 武運長久守護」とあり,左右には様々な神名が列記され,下部には建て主の,上妻七兵衛真雄,惣大工阿世知新右衛門,本源寺当職日印の名前があり,裏面には寛延四(1751)辛未歳二月とあります。

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 この瓦は,へらや縄の跡が見られ,江戸時代の瓦ということです。

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 部屋の配置は,ちょうど漢字の田の字で,左下の下が玄関にあたり,玄関から入ると,左下の部屋が「げんかんのま」,そのさきに,左上の部屋「おもてのま」。この2間の壁は,赤い塗り壁(薄いピンク色)です。間には欄間彫刻です。当主を模した人形が着ているのは,芭蕉の裃(かみしも)です。

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 正面に床の間,左側は書院,右側には木のふすま(絵が描かれています)。

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 専門家によると,部屋の,長押(なげし,ふすまの上の横木のこと)に見られる,平折切頭釘,鉋(かんな)加工痕など,江戸後期以降の大工仕事には見られない技術だそうです。

 田の字の右上の部屋が「おくのま」,その屋根裏から,貴重な「上妻家雅夫婦像」(国内最古級!),種子島時尭の槍の許状などが発見されました。

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 「おくのま」の屋根裏へ。ヘルメットをかぶって上がります。古式の蛤刃手斧仕上げの痕です。

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 よく見ると,屋根板の重ね方が1列目は,左側を重ね,次の列は右側を重ねていて,とても珍しいということです。

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 田の字の右下の部屋が,「なかのま(じろんま)」です。言わばダイニングで,中央に囲炉裏があったとされます。天井は黒くなっています。

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 さらにその右側の,台所の天井部分。すすで黒くなっています。

 当日は,西之表市教育委員会社会教育課文化財係の沖田さん,ヘリテージマネージャの岩下さん,市建設課の石原さん,鉄砲館の方々など,ていねいな説明をしていただきました。

 令和9年までに整備して,一般に公開されるそうです。

上妻家と種高